月: 2018年11月

  • 2018年12月5日(学外11月25日):Te Aroha Rountree先生講演会を開催

    2018年12月5日、Te Aroha Rountree先生をお招きして下記の講演会を開催いたします。また、11月25日には、お茶の水女子大学にて、日本オセアニア学会主催の学会2018年度第1回関東地区研究例会として、関連の講演会が開催されます。

    学内講演会
    題名:「ター・モコ(入墨すること)と文化の流用:モコ・カウワエ(あごの入墨)は、マオリ女性の権利か、パーケハー(ヨーロッパ人)女性の特権か?」
    日時: 2018年12月5日(水) 13:00-14:30 
    場所: 1号館204教室
    備考: 使用言語は英語ですが、深山が適時、日本語訳を挟む予定です。
        授業後、お茶を交えながら懇親会も予定しています。
        これに先立ち、11月21日(水)3限に、深山がマオリに関する講義をします。学内者で聴講を希望する場合には、歓迎しますので、メールでご連絡下さい。
    問い合わせ: 深山直子 n.fukayama[at]gmail.com ([at]を@に置換)   

    要旨:
    この講義では、マオリ女性のタオンガ(宝)であるが、今はパーケハー(ヨーロッパ人)によってまとわれているモコ・カウワエ(あごの入墨)を取り上げ、文化の流用という現代の問題について明らかにする。ター・モコ(入墨すること)は、ティカンガ・マオリ(マオリの伝統、慣習、スピリチュアルな価値と信仰)の一部であると同時に、部族集団内ではマナ(権威)の指標として、対外的にはアイデンティティと個人的属性の象徴として、長きにわたってみなされてきたタオンガである。現代的な脈絡においてター・モコは、「ハカ(パフォーマンスアート及び舞踏)」や「ポ・カレカレ・アナ(歌唱)」と並んで、「キウィ・アイコン」そして国家威信の象徴として、商業化・グローバル化されてきた。その一方で、ティカンガ・マオリの文化的横領をめぐる議論やティカンガ・マオリに対する理解の欠如もまた、タオンガのランガティラタンガ(自己決定)と搾取という問題において重要になってきている。この講義では、モコ・カウワエをまとうパーケハー女性の今日的問題と、マオリ社会における伝統を規定するマオリ女性の権利と特権に関する討論について、検討を行う。

    学外講演会
    主催: 日本オセアニア学会 
    研究会名: 2018年度第1回関東地区研究例会
    題名: Mana Wahine i te Haahi Weteriana: Māori Women in Positions of Authority in the Methodist Church of NZ(メソジスト教会における女性のマナ:ニュージーランド・メソジスト教会の権威ある地位に座すマオリ女性たち)
    日時: 2018年11月25日(日) 14:00-17:00                 
    場所: お茶の水女子大学 本学本館1階135室(カンファレンス・ルーム)
    ※東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅より徒歩7分、東京メトロ有楽町線「護国寺」駅より徒歩8分。

    ※当日は日曜日のため、春日通りに面した正門から構内にお入りください。

      アクセス: http://www.ocha.ac.jp/access/index.html

      キャンパスマップ: http://www.ocha.ac.jp/access/ochacampusmap.html
    司会: 深山直子 (首都大学東京 人文社会学部社会人類学教室)
    ディスカッサント: 棚橋訓 (お茶の水女子大学 基幹研究院人間科学系)
    備考: 使用言語は英語です。
    問い合わせ: 深山直子 n.fukayama[at]gmail.com ([at]を@に置換)  

    要旨:
    本講演では、歴史的ならびに現代的な脈絡におけるマオリのキリスト教へのかかわりについて、明らかにする。特に、マオリ女性に与えられた、あるいはマオリ女性から奪われた、様々な力について明らかにすることに焦点を定めたい。同時に、歴史的に父権的で保守的な教会という環境において、マナ(権威)とティノ・ランガティラタンガ(自己決定)を保持する際に重大な妨げになったものについても、検討する予定である。テ・ハアヒ・ワテリアナ・オ・アオテアロア(ニュージーランド・メソジスト教会)は、ジェンダー間の平等と均等給与に向けた長きにわたる推進運動の歴史をもち、アオテアロアの女性参政権運動の中心を占めてきた。今年は、アオテアロアは女性参政権成立125周年を祝っており、それを踏まえて教会は、教会内における女性への聖職授任や女性の指導者的地位への登用といった点で、改めて自分たちの成し遂げたことについて検討を始めている。この講演では、教会の自己評価と、教会そして社会におけるマオリ女性の位置や地位に関する重要な発見に、光を当てたい。

  • 2018年11月28日:社会人類学年報44号を刊行

    2018年11月28日、東京都立大学・首都大学東京社会人類学会編『社会人類学年報』44号を刊行します。

    社会人類学年報44号目次

    菅 豊 「フィールドワークの宿痾:公共民俗学者・宮本常一がフィールドに与えた「迷惑」」
    島村一平 「呪術化する社会主義:社会主義モンゴルにおける仏教の呪術的実践と還俗ラマ」
    中西裕二 「村落の伝承と文化の歴史化:和歌山県南部・古座川流域の村落の事例から」
    嶺崎寛子 「ローカルをグローバルに生きる:アフマディーヤ・ムスリムの結婚と国際移動」

    寺尾 萌 「蒸留乳酒シミンアルヒとモンゴルの接客技法に関する一考察」

    佐藤若菜 「[研究動向]中国本土・台湾の漢族に関する一九九〇年代以降の親族研究:女性に着目した新たな動き」

    石田慎一郎 「[書評]GOODALE, MARK Anthropology and Law: A Critical Introduction.」
    板久梓織 「[新刊紹介]緒方しらべ『アフリカ美術の人類学――ナイジェリアで生きるアーティストとアートのありかた』」