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2023年3月22日:人文学報519-2(社会人類学分野16)を刊行しました

2023年3月22日、『人文学報』519-2(社会人類学分野16号)を刊行しました。

目次

綾部真雄
The Taming of Irrationality: An Attempt at Secularizing an Orthography with Religious Connotation among the Lisu in Thailand

河合洋尚
都市/村落言説と景観形成:中国広州市の事例から

田沼幸子
相手の話を聞き、書くということ:2022年度「社会人類学演習II」インタビュー作品集

深山直子
コロナ禍におけるフィールドワーク実習の継続:オンラインでの試みの記録と学生レポート選集

浅野久枝
小芝居・中芝居役者の芸名継承と歌舞伎役者 岩井小紫の名跡について

澤井充生
北京市におけるハラール産業の栄枯盛衰:職業倫理からみたハラール飲食店の<真正性> 

スーイル・キム
バックワードダイアリー

2023年2月18日:本教室修了生の荒木亮さんが第18回 国際宗教研究所・奨励賞を受賞しました

2023年2月18日、本教室修了生で博士研究員の荒木亮さんが著書『現代インドネシアのイスラーム復興:都市と村落における宗教文化の混成性』(弘文堂、2022年2月)により第18回国際宗教研究所・奨励賞を受賞しました。

国際宗教研究所賞とは:
(公財)国際宗教研究所は、内外宗教の研究を通じて宗教相互の理解を深め、ひいては人類文化の向上に資する目的で1954年5月に設立され、発足以来、幅広い活動を行ってまいりました。さらに2005年度からは顕彰事業を加え、今日的な問題意識に立つ宗教研究の振興と若手研究者の育成に貢献することを目的として、「現代性」「国際性」「実証性」などに優れた点を有する、刊行物および学位が授与された学位論文(博士)を対象に、(公財)国際宗教研究所賞を創設いたしました(公益財団法人国際宗教研究所ホームページより引用)

国際宗教研究所ウェブサイト記事はこちら
リンク→(https://www.iisr.jp/award/2022/
弘文堂ウェブサイトはこちら
リンク→(https://www.koubundou.co.jp/book/b597748.html

2022年12月20日:Inge Daniels先生上映会を開催しました

12月20日、オックスフォード大学のインゲ・ダニエルズ(Inge Daniels)教授 によるプロジェクトDisobedient Buildingsの成果である20分間の映像とトークを行い、計14人が参加しました。日本をフィールドとしてこられた人類学者のダニエルズ教授が、上映のために日本語字幕をつけてくださいました。

https://www.disobedientbuildings.com/the-team

“She Waves at Me – a film about aging bodies in aging blocks of flats(注) in Central London.” by Inge Daniels
『「彼女は私に手を振るんだ」ーーロンドン中心地の老朽化したアパートの高齢化する身体』

日時 2022年12月20日 (火)13:30〜15:00 
場所 6号館302号室

今回のイベントは、初めて制作した映像作品を上映し、率直な意見を伺いたいという来日中のダニエルズさんの申し出により実現しました。Disobedient Buildingsというプロジェクト名には二つの意味があります。一つには、建物が思い通りに機能せず、不服従だということ。もう一つには、住む人々も言いなりにならず、もの申すということ。

1960年代まで、英国ではどのような階層の人でも、良い住宅に住むことが当然の権利だと考えられていました。このため、名の知られた建築家に依頼した公営住宅が建てられたりしました。しかしサッチャー政権の時代から、こうした住宅であっても収益を上げる方向に政策が変わっていきます。現在では、建物の間にあった緑地帯にも所狭しと建物が建てられ、子供が遊ぶ場もなくなりつつあるとダニエルズさんは言います。1960年代には最新のモダニズム建築として建てられた公営住宅も老朽化が進み、現在は高齢者となった方々が、思うように動かなくなった体と折り合いをつけながら生活しています。

参加者からは、こうした背景を聞いた上でも、映像はコラージュのように美しい自然や室内のイメージや、インタビューされた方の落ち着いた語りと内容が印象的だという声が上がりました。ダニエルズ教授は、イギリスではこの地区が荒れている面ばかりがメディアで取り上げられ、スティグマ化されているため、対抗するためにこうした映像を選んだと言います。何時間もの録画映像があるので、また別の内容や側面でもう一作作りたい、とのことでした。

初めての映像作品ということで緊張した面持ちでしたが、学部生から名誉教授まで、さまざまな方の活発な意見交換ができて、とても和やかな表情になりました。本を書いても感想を聞くことはほとんどないけれど、映像だとその場で観た方とやり取りができると言われました。その言葉どおり、上映直後から終了時刻まで途切れることなく質問とコメントがあり、熱のこもった議論が行われました。

2022年12月15日:社会人類学年報48号を刊行しました

2022年12月15日、東京都立大学社会人類学会編『社会人類学年報』48号を刊行しました。

社会人類学年報48号目次

河野 正治 食物展示の意味をずらす技法:ミクロネシア・ポーンペイ島の儀礼実践にみる価値転換と創造の萌芽
河合 洋尚 なぜいま人類学が景観を論じるのか:景観人類学のマテリアル・ターンを再考する
小田 亮  [講演録]「真正性の水準」の発見と二重社会論:あるいは武器としての人類学
清水 拓野 [研究動向]中国戯劇人類学の特徴と展開:中国本土研究者の研究動向を中心として
石田慎一郎 [新刊紹介]千葉正士全集編集委員会編・大塚滋編集『人間と法――法主体の探究』
田井みのり [新刊紹介]佐本英規『森の中のレコーディングスタジオ――混淆する民族音楽と周縁からのグローバリゼーション』
郝 雅楠  [新刊紹介]藤野陽平・奈良雅史・近藤祉秋(編)『モノとメディアの人類学』

2022年10月28日:「海域アジア・オセアニア研究プロジェクト東京都立大学拠点キックオフミーティング」を開催しました

2022年度より人間文化研究機構「海域アジア・オセアニア」プロジェクトの拠点の1つが、東京都立大学人文科学研究科に設置されました。社会人類学教室を中心とし、今後6年間活動を続けていくことになります。プロジェクトの開始を記念して、2022年10月28日に下記の内容でキックオフミーティングを実施しました。なお、このイベントは東京都立大学南大沢キャンパスの会場とウェブ会議システム(Zoom)を併用するハイフレックス方式で行われ、計29名(対面14名・オンライン15名)が参加しました。

日時:2022年10月28日(金)17:00-19:00

プログラム:
17:00-17:05 開幕の辞 綾部真雄(東京都立大学)
17:05-17:30 趣旨説明 河合洋尚(東京都立大学)
「トランスネシア研究プロジェクトの概要と研究意義について」
17:30-18:00 発表① 横田浩一(人間文化研究機構/東京都立大学)
「潮州からみる海域アジア:想像/創造されるカテゴリーとはみだす領域」
18:00-18:30 発表② 河野正治(東京都立大学)
「フロンティアとしての島嶼世界:ミクロネシアにみる異質な人々の馴化・交錯・並存」
18:30-19:00 討論
19:00 閉幕の辞 山口 徹(慶應義塾大学)

 「趣旨説明」(河合洋尚)では、東京都立大学拠点研究を「トランスネシア・プロジェクト(略称:トラネシ)」と命名すること、海域アジア・オセアニア研究プロジェクトの意義として海域エリアにおけるボーダーレスな人・モノ・情報などの移動を検討していくことが述べられました。具体的な事例としては、客家やオセアニアのアジア系などを取り上げ、従来の空間区分では必ずしも十分に考察の対象となってこなかった地域間のネットワークや人々の移動や文化的な融合などを視野に入れる重要性を示しました。

 次に、「潮州からみる海域アジア:想像/創造されるカテゴリーとはみだす領域」(横田浩一)では、地域を越えた人の移動およびカテゴリーの想像/創造という観点から潮州を対象に台湾への移住者のエスニシティや潮州料理の形成過程などの事例を紹介しました。そして、地域を越えた人の移動や文化は特定の地域や人々に注目しているだけでは見えてこないため、地域や集団で分断せずに人やモノ・情報の移動とネットワークの形成がもたらすエスニシティや文化の変容を詳細に分析する必要があることを示しました。

 最後に、「フロンティアとしての島嶼世界:ミクロネシアにみる異質な人々の馴化・交錯・並存」(河野正治)では、西洋文化との接触や英語圏との関係に比して、アジアとの関係が軽視されてきたことを批判する近年の歴史研究の動向に触れながら、アジアのオセアニア系とオセアニアのアジア系の現状を捉える枠組みについて検討しました。さらに、近年注目されているオセアニアへの中国の進出とアメリカの覇権争いという国際政治のマクロな構図では捉えられないミクロな生活実践、すなわち多様なアジア系の人々がオセアニア住民とそれぞれの距離感をもって暮らす現場の雑多性に注目する必要があることを論じました。

 最後に総合討論が行われ、「海」というキーワードから今後どのように本研究プロジェクトを発展させるのかなど、活発な議論が展開されました。

 今後は連続セミナーなどの形で活動を続けていく予定です。

2022年9月30日:河合洋尚准教授が2022年国史館台湾文献館奨励出版文献書刊優秀賞を受賞しました

2022年9月30日、河合洋尚准教授が台湾で刊行した中国語の編著『百年往返―走訪客家地區的日本學者』が、2022年国史館台湾文献館奨励出版文献書刊 優秀賞を受賞しました。

国史館(アカデミア・ヒストリカ)の台湾文献館は、台湾関連の書物を収集・保管する国立の最高アーカイブ機関です。本賞は、最も優れた関連の学術書に贈られる、大変栄誉ある賞です。2022年に台湾で数多く刊行された学術書のなかから、本書が選出されました。

なお、本書では、本研究室OBである小林宏至氏(山口大学准教授)、横田浩一氏(人間文化研究機構/東京都立大学拠点研究員)、川瀬由高氏(江戸川大学講師)も分担執筆しています。

東京都立大学ウェブサイト記事はこちら

2022年10月16日:シンポジウム「「近代・イスラームの人類学」、その先へ」を開催

2022年10月16日、南大沢キャンパスにて公開シンポジウム「「近代・イスラームの人類学」、その先へ:大塚和夫先生の目指したもの」を開催します(社会人類学教室共催)。

参加希望の方は以下の文面の申し込みフォームよりご登録ください。皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

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本シンポジウムは、大塚和夫先生のご逝去から10年が経った2019年に企画されたのち、コロナウイルス感染拡大に伴い延期されておりました。

このたびオンライン併用のハイフレックス方式にて開催が決定しましたのでご案内いたします。

今一度、人類学および中東イスラーム地域研究の視点から、先生のご研究を回顧したいと思います。

★詳細はウェブページをご覧ください。

https://islam-gender.jp/news/363.html

みなさまのご出席をお待ちしております。

大塚和夫先生の研究を振り返る会 呼びかけ人一同

 ***ご案内ここから***

「近代・イスラームの人類学」、その先へ――大塚和夫先生の目指したもの

開催日時:2022年10月16日(日)13:00~16:00(開場12:30~)

*シンポジウム後に飲食なしでの懇談会を予定しております(来場者のみ、~17:00)

開催方法:オンライン配信を併用したハイフレックス形式で開催(事前申込制)

参加申込フォーム:https://forms.office.com/r/E0S0yrT5Ai

  *参加をご希望の場合は10月10日(月)までにご登録ください。

*登録者には会場の詳細情報と招待リンク(Zoom)をシンポジウム前日までにお送りします。

◆会場:東京都立大学南大沢キャンパス

https://www.tmu.ac.jp/university/campus_guide/access.html

◆プログラム

13:00    開会の辞・趣旨説明:長沢栄治(東京外国語大学)
13:05    第1部:パネルディスカッション「大塚先生の研究を振り返る」

司会/研究紹介:大川真由子(神奈川大学)

登壇者:小田亮(元首都大学東京)、臼杵陽(日本女子大学)、齋藤剛(神戸大学)

総括コメント:赤堀雅幸(上智大学)

14:20    質疑応答

【休憩10分】

15:00    第2部:「大塚先生から学んだこと」~さまざまな分野から8名にお話いただきます

司会:飯塚正人(東京外国語大学)

登壇者:池田昭光(明治学院大学)、岡真理(京都大学)、亀井伸孝(愛知県立大学)、久志本裕子(上智大学)、末近浩太(立命館大学)、竹村和朗(高千穂大学)、谷憲一(上智大学)、森山央朗(同志社大学)

15:55    奥様からのお言葉


16:00    閉会の辞:綾部真雄(東京都立大学)

懇親会(飲食なし)16:00~17:00 (来場者のみ)

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主催:大塚和夫先生の研究を振り返る会(呼びかけ人:赤堀雅幸、飯塚正人、石田慎一郎、大川真由子、黒木英充、末近浩太、長沢栄治)

共催:科研費基盤研究(A):イスラーム・ジェンダー学と現代的課題に

   関する応用的・実践的研究(代表: 長沢栄治)

   東京都立大学社会人類学教室

   日本文化人類学会関東地区研究懇談会

◆お問い合わせ:大川真由子(m-okawa@kanagawa-u.ac.jp

***ご案内ここまで***

2022年7月8日:河合洋尚准教授が第11回三島海雲学術賞を受賞しました

2022年7月8日、河合洋尚准教授の著書『<客家空間>の生産:梅県における「原郷」創出の民族誌』が、第11回三島海雲学術賞(人文科学部門)を受賞しました。

三島海雲学術賞は、自然科学及び人文科学の研究領域において、創造性に富み、とりわけ優れた研究能力を有する若手研究者(45歳未満)を顕彰し、その研究の発展を支援することを目的としています。

三島海雲学術賞ウェブサイト記事はこちら

東京都立大学ウェブサイト記事はこちら

2022年7月12日:学術講演会「人類学を学んだ人の国際協力実践」を開催しました

2022年7月12日に下記の内容で学術講演会「人類学を学んだ人の国際協力実践:ルワンダと南スーダンから」を開催しました。

学術講演会「人類学を学んだ人の国際協力実践:ルワンダと南スーダンから」

日時:2022年7月12日(火)14時40分~16時10分(4限)

教室:東京都立大学 南大沢キャンパス1号館308室(ハイフレックス開催)

人類学と国際協力はともに現場に即した地域と人間の理解を重視してきましたが、地域社会への関与をめぐる考え方の相違から、両者のあいだには埋めがたい溝があるともいわれています。そうした認識のもと、人類学と国際協力の関係をめぐっては、人類学者の知識の「応用」に対する批判から、両者の壁を超えた新たな「協働」の模索まで、さまざまな議論が積み重ねられてきました。

その一方で、個々の職業選択やキャリア形成の面からみれば、人類学を学んだ者がアカデミックな世界以外でその知識と経験を活かせる舞台として、国際協力の世界は魅力的な選択肢であり続けています。実際に開発援助などの業界に携わっている方のなかには、何らかの形で人類学に触れた経験を持つ方が少なくありません。そのような経験をもつ専門家は、自らが過去に学んできた人類学と現在の職務とのあいだでどのように折り合いをつけ、それぞれの実践を築き上げているのでしょうか。

今回の学術講演会ではその内実に少しでも迫るべく、大学院で人類学を学んだ経験をもち現在も国際協力の現場でご活躍されている池田祐子さん(在ルワンダ日本大使館)と平田民子さん(JICA南スーダン事務所)をお招きし、お二人が人類学と国際協力の双方の世界にどのように関与しているのかを、具体的なエピソードを交えながらお話しいただきます。

プログラム:

14:30    開場

14:40    開会 

14:40-14:45 趣旨説明:小宮理奈(社会人類学教室・大学院生)

14:45-15:15 池田祐子さん(在ルワンダ日本大使館)によるご講演

15:15-15:45 平田民子さん(JICA南スーダン事務所)によるご講演

15:45-16:10  パネルディスカッション兼質疑応答

16:10    閉会